ここ数日は非常に日差しが強く、また温度も高めで、図書館で居眠りをしないように必死になってしまいますね。
少しずつ勉強のスタイル作りもしていっているのですが、いかんせんサボりがちです。
余りにも危機感がないのです。
大学受験とかであれば、私はそこそこの進学校に通っていたのでそれこそみんなで攻略したイメージがあります。
言うなれば「周りがやっているから自分もやるしかない」と言ったような感じです。
それが今回の場合は誰も周りにいない。
分野も今までとは全く違いますし、そもそも院に進む文系学生自体それほど多くない。
加えて、学年も違ったりする・・・と。
一人で何かをするとどうしても裁量権がありすぎて怠けてしまうみたいです。
こんな調子では世界ととてもではないですが戦っていけませんけれど。
さて、今回の本題に入ります。
ずばり「ソフトバンクはiPhoneの販売で儲かっているのか?」です。
ソフトバンクモバイルは平成24年度3月期の決算で前期を上回る利益を叩きだしました。
(http://www.softbank.co.jp/ja/design_set/data/irinfo/library/financial_report/pdf/2012/softbank_results_2012q4_001.pdf)
契約数もうなぎ登りで本当に勢いがある会社のように我々の目には移ります。
その理由の一つとしてiPhoneが挙げられると思われますが、本当にそれが主要な要因なのかどうかを検証したいと思います。
実は先日auとNTT docomoが夏の新商品発表会を行いましたが、そのこととは関連していないノンタイムリーな話です。
どうぞお付き合いください。
みなさん、iPhoneにはどのようなイメージをお持ちでしょうか?
これは人によってだいぶ印象は変わってくるでしょう。
たとえば「アップルの作っている電話」「流行っている」「画面が割れやすい」「ユーザーインターフェースが秀逸で使いやすい」「Androidに比べて自由度が低い」「ケースなどのアクセサリーが多い」etc..
本当に色々あると思いますが、ことソフトバンクショップに行くお客さんに関しては上記のような印象よりも「お洒落で安い!」みたいな印象を持ってる人が多いのではないでしょうか。
「お洒落」なのはアップルが極限までにシンプルさを追求してミニマルなデザインにiPhoneを仕上げたからですが、「安い」というイメージにはソフトバンクモバイル(以下SBM)の提供している料金体系に理由があります。
そう、「実質無料」とかいうやつですね。
iPhone4S・16GBの端末購入代金は24回分割払いの場合月々1920円で、それに対して24回・1920円の割引である月月割が付いてくるので差し引き0円ですよ〜というやつです。
携帯電話といえば馬鹿にならないお値段です。
安い機種であったとしても3万円はかかってしまったりするのが普通です。
それが「0円!?すごい!」となるんですよね。
(実際は4万6080円のローンを組んでいるのですが。そして見落としてはいけませんがSBMで割賦契約で携帯電話を購入したら全ての機種でもれなく月月割は付いてきます。もっといえば多くのローエンド機種は3万のローンを組んでも同じだけの月月割が付いてくるのでiPhoneと同じ「実質無料」になるんですね〜)
この割引はいわゆる販売奨励金のようなものです。
つまり一台のiPhoneにつき4万6080円もの奨励金をSBMは出しているのです。
次にパケット定額サービスにもユーザーがお得に感じるものがあります。
iPhone以外のスマートフォンであればパケット定額の料金は5460円のフラットタイプか390円〜5985円の2段階制タイプかの二択です。
しかし、iPhoneの場合は4410円のフラットタイプか1029円〜4410円の二段階制タイプかの二択なのです。
ほとんどの方はフラットタイプで契約されるかと思いますので、この場合だとiPhoneなのかその他のスマートフォンなのかで月々1050円の差が出ます。
SBMはこういったいわゆる「iPhone優遇策」を取って消費者にアピールしているわけです。
これだけの値引きをしておきながら果たしてSBMはiPhoneの販売で儲かっているのか?
NTT docomoなんてiPhoneを出すと収益が悪化するとまで言われています。
それなのになぜ?
スマートフォン販売では圧倒的にiPhoneがシェアを占めているSBMではなぜ利益が増えているのか?
その謎に迫ります。
※以下話すインセンティブなどの金額はあくまで私の知り合いの代理店運営者がソースです。
まずiPhoneの販売にどういったコストがかかるのか、ということですね。
これはソフトバンクショップ(多くの場合販売代理店)に対する「インセンティブ」と大きく関わってきます。
インセンティブとは販売奨励金というか、代理店が端末を販売した時にどれだけの利益をあげるのか、というのをSBMが決定しているものとしていいでしょう。
これはオプションプランの獲得だったり、新規契約だったり、はたまたその契約獲得の状況だったりと色んな場面によってその金額は上下します。
ここからはしばらく代理店の目線になります。
端末を販売した際の利益(人件費やその他を差し引いていないので「粗利」と呼ぶ)
というのはその機種の実質負担額にかなり依存します。
実質無料機種だと大体一台につき1000円ほどです。
すずめの涙です・・・(;.;)
しかしiPhoneだけは特殊な「ボリュームインセ」というものがついており、
販売するたびに3500円ほど上乗せされます。
さらにそれがMNP(番号そのまま乗り換え)であればプラス10000円。
あんしん保証パックやiPhone基本パックの契約時加入にはそれぞれ100円。
AppleCare+の加入には500円。
WホワイトやVVMの加入は時期によってはMNP前提で3000円だったり。
コンテンツ加入(新規加入時の加入の場合クレカ払いが必須)は500円〜1000円。
こういったように様々な要因で代理店が手に入れる利益が変わってくるのです。
ソフトバンクショップのスタッフの執拗なオプション提案などはこれが理由です。
オプションに加入してもらわないとショップ運営が成り立たないような仕組みなのです。
だって普通に機種変更した場合なんてiPhoneだったら4700円くらいになりますが
暇な店舗だったり繁忙期以外の時期であれば人件費の支払いすら危うい状態です。
まして002Pや105SHなんてどうなることやら。
ショップ運営は大変です。
ここからSBMの目線に戻ります。
上記のようにインセンティブを設定しているということは、すなわちそれだけのお金を代理店に支払わなければいけないということです。
さらにiPhone販売のライセンス料というのも存在しているみたいです。
ここに関してはソースがないのでいったいどれだけのものか分かりません。
他の方のブログなどを拝見させていただく限りでは4万円くらいかかるみたいですね。
そして仕切価格。
これも全く分からない状態ですが、SIMフリーのiPhone4Sが16GBで649ドルすることを考えても安くはなさそうです。
一応米調査会社のiSuppliによると原価は188ドル。
対ドルの円相場を85円と仮定(AppStoreでのアプリの値段設定を参考にしました)。
すると原価は約16000円。
そしてアップルの利益率がiPhoneの場合3割を切ることはなさそうなので、アップル社の人件費のことも考えて大体3万円でSBMに卸していると考えましょう。
(実際は運送費含めもっと色んなコストがかかるはずですがそこは省きます)
するとiPhone一つ売るのにライセンス料と仕入れで70000円かかることになります。
しかも割賦販売価格こそ46080円に設定していますが、実際には月月割が総額46080円ついてきます。
それだけのコストを払わなければならないので、販売してもコスト回収自体は不可能です。
おそらくこれが代理店に対する端末販売のインセンティブが低い原因でしょう。
そしてボリュームインセや端末販売インセ等を含めて大体コストは75000円程度とします。
次です。
今度はSBMの得る売上について見てみましょう。
iPhoneの場合、必須加入プランはホワイトプラン、S!ベーシックパック、パケット定額サービスの三つです。
これらはそれぞれ980円、315円、4410円なので合計5705円ですね。
加えてSBMユーザーの音声ARPUは1650円(ソースは決算短信)。
これは基本料金であるホワイトプランの980円も含まれていますので、これを引くと670円。
海外通話もおそらく含んでいるので、もう少し金額は下がるはずです。
しかし、これは母数が稼働契約数なので、Pocket WiFiやフォトビジョンのような「通話機能を持たない」端末の契約も含んでいます。
なので、実際の数字はかなり上がることになると予想されます。
さらにiPhoneユーザーは他のユーザーに比べて音声通話が多いのかどうかも気になるところです。
仮に通話料を800円と仮定しましょう。
するとiPhoneユーザーにおける月々の平均的な単価は約6500円です。
これを2年間支払続ければ・・・156000円です。
おお、簡単にコスト回収が出来てしまっている!!
なんとコストの倍ほどの売上が出ることになります。
SBM版iPhoneユーザーが世の中にどれほどいるのかは皆目見当がつきませんが、300万人くらいはいそうな・・・気がします。
すごく適当ですが^^;
これで、iPhoneは意外と儲かるネタだというのがよく分かったとおもいます。
しかしこれだけで片付けてはいけません!
先ほどまでの話はあくまでずっとSBMを使い続けてきた方がiPhoneに機種変更した場合の話です。
これが新規契約であればどうなるのでしょうか。
分かりやすい例を出すために、現在の学割期間での加入を考えてみましょう。
この時期は恐ろしい商戦期です。
あらゆるキャリアが販売店に高額のインセンティブを与えて販売を奨励します。
そのため都市部の家電量販店は言わずもがな、地方の小さな代理店まで人でごった返す光景が散見されます。
現行の学割は基本使用料が3年間無料というのが基本になりますが、その上にキャリアが販売奨励金を出すのは何故でしょうか。
この時期は春のなんちゃらというやつで契約などを見直す時期に入ります。
子供が入学したり進学したりして携帯電話を買い換えたくなることもあるでしょう。
その際にほとんどの親がもっとお得にしたいと考えるはずです。
そこに学割を乗せてくるんですね。
そうやって契約数を動かす。
そして販売奨励金については、さらに契約数を動かす起爆剤にするために、自社の新しいサービスを契約してもらって決算発表で恥をかかないようにするために(笑)出すのです。
何と言っても決算期ですから。
そんなこんなで学割を使って顧客が契約した場合、機種変更とはコストの額が大きく変わってきます。
そこを精査してみましょう。
まず、SBMの場合は商戦期であったとしても学割適用以外ではインセンティブを変えません。
その上で学割乗り換えの場合は30000円、学割乗り換え家族(学生の家族も一緒の時期に乗り換えること)の場合は40000円(!)といったように通常の乗り換えが10000円だったのに対し、かなりの金額が上乗せされていることがお分かりになるかと思います。
これで計算すると・・・
iPhone契約の必須加入プランはホワイトプラン、S!ベーシックパック、パケット定額サービスというのは従来と変わりませんが、学割適用でこの中のホワイトプランの料金980円が3年間0円になるので、月々の料金は従来よりも下がります。
そしてコストです。
機種変更では75000円だったコストも学生相手であれば105000円、学割家族であれば115000円にまで膨らみます。
音声ARPUは変わらないとして、月々の料金は約5500円。
2年間支払い続けた場合は総額で132000円です。
おお・・・利益がまだ残るのか・・・!と実際に計算してみて驚きです。
しかし実際はここから色んな費用が差し引かれます。
それは人件費だったり設備投資だったり債務返済だったり・・・。
2年間で30000円弱の粗利ではとても賄えないと考えられます。
これで4000億円を超える利益を出すとは信じられません。
ではその理由とは何か。
このことは新規契約者優遇の昨今ではもはや常識とまでされていますが、長期ユーザーは新規契約者及びソフトバンクモバイルの養分となっているのです。
一人あたりARPUは4150円。
スマートフォン普及率を考えるととんでもなく高いです。
また、今回のような学割による割引だったりMNPによる乗り換え割だったりという恩恵を受けているユーザーがいる中でこの数値です。
通常契約者はかなりのお金を毎月支払っているということです。
この傾向は何もSBMに限りません。
どのキャリアでも一緒です。
この現実を考えれば2年ごとにMNPして他社にどんどん移っていく方が間違いなくお得です。
NTT docomoが長期加入者ご愛願キャンペーンなるものを発表していましたが、それでも月々たったの210円、2年間で5040円の割引にしかならないものです。
これであれば乗り換えた方がメリットが大きいのは一目瞭然です。
みなさん、キャリアを変えることは決して大きな問題ではありません。
おまけにSBMはあれだけの利益を出しておきながら設備投資はNTT docomoの半分に過ぎません。
カスタマーセンターの相変わらずの対応、代理店の不法(詐欺的手法)な販売手法、使い物にならない電波状況(プラチナバンドなんて使いこなせなければ意味が無い)etc..
なぜSBMが高い収益を上げることが出来たのか。
そこには上にあげたような環境に資源を投下していないからです。
自社だけが儲けられるようにおもいっきりケチるのです。
その上あらゆる数字の水増し。
SBMは顧客を顧客とは考えていません。
いわば金儲けの道具にすぎない・・・と。
それはあらゆる場面で痛感することが出来ます。
こんなキャリアを使い続ける理由なんてありません。
今すぐMNPすべきです。
auやNTT docomoが絶対的にいいとも言えませんが、それでもまだ顧客として見てくれますよ。
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